泣いて、いつの間にか寝ていたようで、次に気づいた時には朝になっていた。


「薫、具合はどうだ?」


うちには、親はお父さんしかいない。

いつものように、ワイシャツにエプロンというちぐはぐな格好で、お父さんがあたしを起こしにきてくれた。


「……おはよ……今日は少しはいいかも……」


昨日までのような身体の重さや熱さはなくなっているような気がした。

お父さんもあたしのおでこを触って、少しほっとしたような表情になった。


「昨日、少しうなされてたみたいだったから、よかった」


「あれ……あんま覚えてない」


「今日は学校はどうする?行けるか?」


「ちょっと遅れて行こうかな。少し様子みて行く」


「そうか、お父さんはもう家出るけど、おかゆ、作ってあるから。
あとは学校行けそうなら隼人に送ってもらいなさい。あいつ、たしか今日は午後しか授業ないから」


うん、とうなずきながら――そういえば、チャリすら学校に置いたままだったことを、ぼんやりと考えていた。