ハジメテの痛みと激しさに、身体と意識がついていけず、カイ先輩の腕の中であたしはすっかり眠ってしまっていた。

気づいた時には、もう9時前――門限の時間まで、あとわずか。


真っ暗な部屋の中で、月明かりだけがうっすらと差し込んでいる。


「ごめんなさい……寝ちゃってました……」


「うん……きつかった?」


「いや、大丈夫……」


しかし、ふいに身体を動かしてしまい、おなかまで響くような痛みがまたぶり返した。

思わず顔をしかめ、漏れそうになる声を必死でこらえた。

その様子を、カイ先輩は笑って見ている。


「もう一回戦はムリかぁ」


「……!?」


そんなあたしの反応を楽しむように、カイ先輩はあたしの顔をのぞきこんで、身体を寄せた。

熱を帯びた肌と肌がぴたりとくっついて――なんだか心地よいような、くすぐったいような。


「今日は……もうカンベンしてください」


「じゃあ、また明日だな」




あたしは苦笑しながら、カイ先輩の大きな胸に頭をあずけた。