幸せな、夢を見ていたの。
それは、叶うはずのない夢。
たとえひとときの夢だったとしても、あたしはカイ先輩の彼女になれて――幸せだった。
そう自分に言い聞かせるよいになり、そして自分でもその言葉に納得できるようになりつつあった、2月の半ば。
高校入試が近いせいで、うちの学校も試験前の会場設営の為に、その日は授業が午前中だけで終わった。
クラスの友達はせっかくだからカラオケに行くって言ってたけれど、
相変わらずあたしはそんな気にはなれなかったから、お誘いを断ってひとりで帰ることにした。
とぼとぼとのんびり歩きながら、あたしはこれからのことをぼーっと考えていた。
兄貴がどうやら、最近あたしとカイ先輩の不仲に気づいてしまったらしい。
これからまた面倒なことになるなあ、なんて、まるで他人事のようにぼんやりと考えていたとき、
「――薫」
と、リュウくんに声をかけられた。
「あ……」
リュウくん、と言いかけて、あたしは立ち止まった。
いや、正確に言うと、動けなくなった。
それは、叶うはずのない夢。
たとえひとときの夢だったとしても、あたしはカイ先輩の彼女になれて――幸せだった。
そう自分に言い聞かせるよいになり、そして自分でもその言葉に納得できるようになりつつあった、2月の半ば。
高校入試が近いせいで、うちの学校も試験前の会場設営の為に、その日は授業が午前中だけで終わった。
クラスの友達はせっかくだからカラオケに行くって言ってたけれど、
相変わらずあたしはそんな気にはなれなかったから、お誘いを断ってひとりで帰ることにした。
とぼとぼとのんびり歩きながら、あたしはこれからのことをぼーっと考えていた。
兄貴がどうやら、最近あたしとカイ先輩の不仲に気づいてしまったらしい。
これからまた面倒なことになるなあ、なんて、まるで他人事のようにぼんやりと考えていたとき、
「――薫」
と、リュウくんに声をかけられた。
「あ……」
リュウくん、と言いかけて、あたしは立ち止まった。
いや、正確に言うと、動けなくなった。