「――どうして、別れちゃったんですか……?」


沈黙に耐えきれず、先に口を開いたのはあたし。


「“あっちで好きなオトコが出来た”んだってさ」


自嘲ぎみに笑って、カイ先輩は吐き捨てるようにつぶやいた。


「そんな……」


1日1回、必ず電話をしている、と言っていた。

メールだって頻繁にしてたのに。


「たまたま向こうで、同郷のヤツと知り合ったんだって。仲良くなって、少しずつ気になりだして……なにより――そばに居てくれるヤツの方がいいんだとさ」


カイ先輩のことが好きだ、とか、そういうのは全部忘れて、あたしは先輩の言葉を聞きいっていた。

時折、先輩が見せる、哀しげな顔が――あたしの胸を締めつける。


「遠距離になった時点で、お互い覚悟の上だったよ。あいつだって、こっちでおれが浮気しないか心配だっただろうし――でもな、信じて待ってて欲しかったんだよ。

そばにいてくれる“間に合わせ”なんかに頼ってほしくなかったのに――……」