確信なんてない。

でもあたしは間違いなくサユリさんからの電話だったと思った。

あの、画面を見つめたカイ先輩が、一瞬だけ見せた――驚いた顔。


絶対、サユリさんだ。





たぶん、森川さんと無言のまま見つめ合っていた時間は、3分となかったと思う。

あたしには、それが恐ろしく長い時間のように感じられた。


さっきとは比べものにならないくらい静かな物音でカイ先輩が部室に戻ってきて、

覚悟を決めたあたしは、力の抜けた足でふらつきながら立ち上がった。





「カイ先輩は、やっぱり……
サユリさんのことが、好きなんですか……?」




















「――――…」


カイ先輩の表情が、みるみるうちに青ざめていく様子が、

自分でも可笑しいくらい、よくわかった。



ああやっぱり、
カイ先輩が好きなのはサユリさんなんだ。



つきつけられた現実に、なみだがまたこぼれ落ちた。