「違う……違う――――っ!」


あたしは泣きながらカイ先輩を止めようとした。

森川さんはなんにも悪くない。

あたしが、弱かったからいけないんだ……!


「薫……なにが違うんだよ」


ようやく森川さんの胸元から手がはずれ、

それと同時にあたしの身体も飛ばされそうになった。


「言えよ!なにされたんだ!?」


あたしはカイ先輩の腕に抱きついたまま、小さく首をふるので精一杯だった。


「薫……!」







あたしはそのままフローリングの床にへたりこんでしまい、自分では立ち上がることすら出来なくなってしまった。

大粒のなみだが頬をこぼれ、カイ先輩も、森川さんも、みんなぼやけて見えなくなった。


カイ先輩がしゃがみこんで、震えるあたしの身体をぎゅっと抱きしめた。

カイ先輩を止めなきゃいけないのに――身体が動かない。


「森川……てめぇ……!」




そうカイ先輩が吐き捨てた瞬間、誰かのケータイが鳴り響いた。