こんな状況において、いまだにカイ先輩を必死に信じようとしている自分が、自分でも可笑しかった。


リュウくんの言う通り、もうやめてしまえばいいのだ。

だって、あたしのことを好きだと言ったのに――サユリさんと会ってるような人なのだ。

早いとこ見切りをつけて、さっさと別れてしまえばいい。




「……それを見たのって、いつでした?そしてそれからは、ふたりが一緒にいるとこ見ませんでしたか?」


頭ではわかっているのに、言葉が止まらなかった。

知らなくていいことだってある。

むしろ、知らないほうが幸せなこともあるのに。


それは、治りかけた傷口のかさぶたをはがしたくなるのと同じ。

痛いことだと、傷つくことだと頭ではわかっているのに、自分では止められないのだ。





「たぶん正月だった。3日、くらいだったと思う。それからは見てない」


その言葉にほっとしつつも、

でもそれは、あたしに同情した森川さんの優しい嘘なんじゃないかと――疑心暗鬼に陥っていた。