『はじめまして。隼人くん、それに薫ちゃん』























『お母さあん!』


『…………』







『ねえねえ、お兄ちゃんは……お母さんのこと、きらい?』


『……あんまり好きじゃない』


『どおして?』


『……どうしても』


『かおるはね、だいすきだよ!おいしいケーキ作ってくれるしね、このまえはおもちゃ買ってくれたよ』


『…………』


『だってお兄ちゃんも、お母さんにおようふく買ってもらってたでしょ?』


『ぼくは……』


『お兄ちゃん、どおして泣いてるの?』









『ぼくは、前のお母さんがいい!かおるのせいで……ぼくのお母さんは死んだんだ!』





















その次の日、兄はチョコを買ってきてあたしに謝った。

ちょっとだけギクシャクしたけれど――すぐにあたしたち兄妹は仲直りをした。

兄は今まで以上に優しくなった。



でも、あたしの中で――あの、お兄ちゃんの言葉は一生消えない。

お兄ちゃんもまた、あたしに放った言葉を、ずっと悔やんで生きているのかもしれない。