「サユリが今どこに住んでるか、知ってる?」
もうやめてほしい――これ以上、あたしはなにも聞きたくない。
小さく首を横にふって、あたしは机に突っ伏した。
でも、そんなあたしの惨めな姿を見ても、リュウくんはかまわず続けた。
きっと、リュウくんなりの優しさのようなものだったんだと思う。
あたしが、はやく、
カイ先輩のこと、嫌いになれるように。
「T県だよ。車で、4時間くらいのとこ。
一晩かけてサーキットに行くような兄貴が、4時間ぐらいの距離を遠いと思うはずがない。
今日だって――どこにいるんだろうね?」
その言葉にぞっとして、あたしは部室のドアを思いきり開けた。
普段カイ先輩は、部室を駐車場代わりにしている。
だから、学校にいようがマンションにいようが、出かけていない限り、車はガレージ付近に止まっているのだが……
「…………」
ローレルは、なかった。
「……中林ももう、はやく帰りなよ」
不安と、絶望と、孤独感が――一気に胸の中に広がった。
もうやめてほしい――これ以上、あたしはなにも聞きたくない。
小さく首を横にふって、あたしは机に突っ伏した。
でも、そんなあたしの惨めな姿を見ても、リュウくんはかまわず続けた。
きっと、リュウくんなりの優しさのようなものだったんだと思う。
あたしが、はやく、
カイ先輩のこと、嫌いになれるように。
「T県だよ。車で、4時間くらいのとこ。
一晩かけてサーキットに行くような兄貴が、4時間ぐらいの距離を遠いと思うはずがない。
今日だって――どこにいるんだろうね?」
その言葉にぞっとして、あたしは部室のドアを思いきり開けた。
普段カイ先輩は、部室を駐車場代わりにしている。
だから、学校にいようがマンションにいようが、出かけていない限り、車はガレージ付近に止まっているのだが……
「…………」
ローレルは、なかった。
「……中林ももう、はやく帰りなよ」
不安と、絶望と、孤独感が――一気に胸の中に広がった。