ふと、卒業アルバムで見た写真が頭の中に蘇った。


あたしの知っている、あたしの脳裏に焼き付いている、キレイにオシャレした彼女の顔とは違う。

化粧っ気のない、髪をふたつに結っただけの、自然な笑顔。


胸の奥が苦しくなるくらい、綺麗だった。

見てはいけないものだったと、一瞬で後悔した。

当たり前だけど――同じクラスのページにふたりの写真が並んでいることが、たまらなく悔しかった。



高校時代のカイ先輩が、好きになった人。





一番、聞きたくない名前だった。

意識しないように、意識しないように、と――あたしは、彼女の存在を心の中で封じ込めていた。


やっぱり、あたしでは勝てないのだ。

彼女以外の女の人と、カイ先輩が浮気をしているのなら……まだ、救いようがあったかもしれない。


しかしこれじゃあ、嫌というほど思い知らされる。





あたしは所詮、
サユリさんの“代わり”なのだ――……