せっかくの休日デートを楽しみにしてきたのに、結局カイ先輩の部屋の掃除だけで昼過ぎになっていた。

どうやら、カイ先輩の掃除ベタな理由は――片付けをしながら、他のなにかに気をとられてしまうことにあるらしい。

今だって、久しぶりに見つかったというゲームボーイに夢中になっている。


「――ほら、先輩。終わりましたよ。いらない雑誌はまとめときましたから」


「んーありがと……ちょっと待って、あとちょっとでセーブ出来るから……」


ゲームに夢中でうわの空なカイ先輩はほっといて、あたしは勝手に卒業アルバムを引っ張りだした。

一応、カイ先輩の顔をうかがってみたけれど、あたしのほうなんて見向きもしない様子。


高校時代のカイ先輩の姿が見たくて、あたしはこっそりアルバムを開いた。





――あれ?
意外と普通なのね……。

メガネかけて、案外真面目そう。


今とは全然違う雰囲気に――あたしは思わず、写真と目の前の人とを何度も見比べてしまっていた。