正月早々渋滞にはまった帰り道、シートに頭をあずけたまま、カイ先輩がふとつぶやいた。


「誕生日、会えるかな」


あたしは驚いて先輩を見上げた。


「なんで知ってるんですか……?あたしの誕生日」


「――当たり前じゃん。おれを誰だと思ってんだよ」


そんな話を人前でするのが恥ずかしくて、おそるおそる後ろを振り返ると――幸いにも、お兄ちゃんとリュウくんはまだ眠ったままだった。


「びっくりしました……まさか、誕生日知っててくれたなんて」


「お父さんが厳しいかな?せっかくの誕生日だから、ふたりで祝いたいんだけど」


今日みたいにならないように、と、後ろを振り返って舌打ちするカイ先輩に、あたしは苦笑するしかなかった。


「でも……お父さんには、あたしから言ってみます……門限さえ守れば、きっと」





1月15日の――あたしの、17歳の誕生日。

はじめての、好きな人と過ごす誕生日に、あたしは想いを馳せた。



でも、やはりこの、胸に湧く後ろめたい想いは、

いくつになっても消えそうにはない――……