後部座席でぐっすりのふたりを置いて、またあたしとカイ先輩はふたりきりの寄り道をすることにした。

山道を下る途中で、小さな鳥居を見つけたのだ。


そばの空き地に車を停めて、あたしたちは車を降りた。

近くに民家もない山の中なので、初詣で参拝する人もおらず、

小さなお堂のまえに備えられた賽銭箱へ、ふたり並んでお金を投げた。


「おまえ、いくらいれた?」


「5円です……“御縁”がありますように、って」


「……たった5円で神さまにあやかろうなんて、おまえも図々しいな」


「うるさい!そういうカイ先輩はいくらいれたんですか?」


「――2円」


「…………」





ぱん、ぱん、と――ふたりそろって手を叩いて、目の前であたしたちを見ているであろう神さまに、お願いをした。

ずっと、ずっと……この人と一緒にいれますように、って。



目を開けて、隣のカイ先輩を見たら、あたしよりも長く手を合わせている。


きつくまぶたを閉じて、何かを祈るカイ先輩の姿に、

あたしは言いようのない胸騒ぎを覚え、不安になっていた。