「――わあ!」


山の切れ目からのぞく太陽は、雲とうっすらともやがかかって、より一層神秘的なものだった。


「綺麗だな。ネットでいろいろ調べて迷ってたんだけど……よかった」


「……はい!感動です!」


隣県の高い山の山頂までドライブというカイ先輩の見事な初日の出プランに、あたしは大感激だった。

初日の出を見てから山を下るまでにだって、景色が綺麗な場所にいろいろと寄ってくれた。


「おれらは寒いから待っとく〜」


――と、お兄ちゃんはコートの襟を合わせながら、リュウくんは隣で爆睡中。

ふたりなりに気を遣ってくれたのか、ふたりとも車を降りてくることは無かった。


おかげで、こっそり手をつないだり、車から見えないところで、キスをしたり。

初めての、彼氏と過ごすお正月には――写真じゃ残しきれないくらいの、たくさんの思い出が出来た。



「お父さん……おれのこと、嫌ってそう」


「……ふふ、そんなことないですよ、きっと」


カイ先輩の悲しげなため息が白く凍って――あたしはなんだか可笑しかった。