「……ったく」


一番不機嫌だったのは、リュウくん。

ローレルの後ろでふんぞり返って、露骨に顔をしかめていた。


「兄貴も中林も。正月ぐらいゆっくりさせてよね」


「なんでおれらまで巻き込まれんといかんのよ……なあ」


「ですよねー隼人さん」


妙に団結力の高い後部座席のふたりは、ねー、と高い声をそろえて顔を見合わせている。


痛い視線を背中にうけ、あたしはおそるおそるカイ先輩を見た。

と、そんなカイ先輩は、初日の出ドライブがふたりきりじゃなかったのがそんなに嫌だったのか、

肩を落としたまま遠い目をしてハンドルを握っていた。


「……カイさん、今日はどこまで行くんですか?」


よどみきった空気を振り払うために、あたしはひきつった笑顔のままカイ先輩に尋ねた。


「……隣の県まで……ふたりでドライブ……」


「はいはい、おれらのことはどーぞ無視しちゃってください」


後ろのふたりが、ますます毒づいた。