お兄ちゃんは自分の車に、あたしはカイ先輩のローレルの助手席に乗り込もうとした時。


「――おい、隼人」


仏頂面で仁王立ちのお父さんが、お兄ちゃんを呼び止めた。


「おまえが車をだす必要はなかろう?」


「……へ?」


「――ローレルは5人乗りだ。おまえもローレルに乗せてもらえばいい」


父のその言葉に――お兄ちゃんは苦笑いし、あたしとカイ先輩は少々青ざめてしまった。


ほんとうは、車2台に別れて、あたしたちはそのままデートへ、

兄貴とリュウくんは、適当にぶらぶらして、リュウくん家で時間を潰す、と、お兄ちゃんとカイ先輩は打ち合わせをしていたのだ。


完璧だと思われた、カイ先輩の策略は――思わぬところで、あっけなく打ち破られてしまった。


「……だそうです」


「……ぉぅ(かなり小さい声で)」



お父さんの冷たい視線を浴びながら、あたしたち4人は、初日の出デートへと旅立ったのである。