「高橋のヤツ、意外と楽しみにしてたんだなあ」


帰りの車の中、カイ先輩の煙草のけむりに包まれながら、あたしはふたりで過ごすクリスマスに想いを馳せていた。


「主催者がドタキャンなんて……ひどいですよ」


「あれ?おれがみんなと飲みに行ってもいいの?」


「や……それはダメですけど」


意地悪げに、カイ先輩は返答につまったあたしを見てケラケラ笑った。

普段会うのはいつも部室だから、ふたりきりになるこの帰りの車内は――あたしにとって、一番大切な、時間。


「クリスマス、どうする?どこか美味いメシでも食いに行くか」


付き合う前となんら変わりないカイ先輩の雰囲気に、あたしも自然でいられる。


「はい!お肉がいいです!」


「素直でよろしい。でも……もう少し色気のあること言ってほしい、かな」


そうこうしているうちに、いつものようにうちの近所のコンビニに到着した。

カイ先輩はあたしの頭をなでて言った。


「――帰ったら電話するよ。風呂入って待ってて」