その日以来、森川さんとは、一切喋らなくなった。
まともに交わされるのは、“お疲れさまです”のあいさつだけ。
目も合わない。
そう、まるで、昔に戻ってしまったようだった。
付き合っていたころの記憶も、思い出も、すべてこの世から――消されてしまったかのように。
久々にあたしの手元に戻ってきたデジカメの写真を開いてみた。
大学祭の、みんなの笑顔。
メイド服の集合写真や、打ち上げでべろべろになってるみんなとの姿。
そのあとは――真っ白な犬のドアップの写真が続いた。
森川さんと付き合って、最初で最後になってしまったドライブデートの写真。
あたしがシロを撫でてる写真や、森川さんとシロが追いかけっこをしてる姿。
そこであたしは、森川さんとあたしのふたりの写真が、一枚も無いことに気がついた。
シロの可愛い右足じゃあ……シャッターボタンは押せないから。
何の形も残さなかったふたりの関係は――
あたしと、森川さんと……シロの、三人だけの秘密だった。
まともに交わされるのは、“お疲れさまです”のあいさつだけ。
目も合わない。
そう、まるで、昔に戻ってしまったようだった。
付き合っていたころの記憶も、思い出も、すべてこの世から――消されてしまったかのように。
久々にあたしの手元に戻ってきたデジカメの写真を開いてみた。
大学祭の、みんなの笑顔。
メイド服の集合写真や、打ち上げでべろべろになってるみんなとの姿。
そのあとは――真っ白な犬のドアップの写真が続いた。
森川さんと付き合って、最初で最後になってしまったドライブデートの写真。
あたしがシロを撫でてる写真や、森川さんとシロが追いかけっこをしてる姿。
そこであたしは、森川さんとあたしのふたりの写真が、一枚も無いことに気がついた。
シロの可愛い右足じゃあ……シャッターボタンは押せないから。
何の形も残さなかったふたりの関係は――
あたしと、森川さんと……シロの、三人だけの秘密だった。