「ごめんなさい……」


やっぱりあたしは、謝ることしか出来なかった。


「……冗談。困らせるつもりはなかったんだけど」


ふと森川さんは立ち上がり、なにかをこちらに持ってきてくれた。

そのピンク色のポーチには見覚えがある。


「……あたしの、デジカメ――」


森川さんが持っていたのはあたしのデジカメだった。


「おれの車の中に落としてたよ。ドライブに行った時かな?」


「ああ、そういえば……ありがとうございます……」


なくしていたことに全く気づいてなくて、あたしはかなり驚いていた。


「どうしようか考えたよ。カイ先輩に気づかれないように返さないといけないし」


彼は、あたしがここに来たことも心配してくれているようだった。

こんなに優しい人を、あたしはあんなに苦しめたのだと、あたしは改めて思い知らされた。


どうしてこの人に、応えることが出来なかったんだろう。





その時、あたしのケータイが鳴った。