何も言えなくなって――あたしは下を向いて、小さく首だけを動かした。


「よかったね」


イヤミなのかと思うくらい、森川さんは淡々と話した。


「カイさんから相談受けてたんだよ。だから、告白したら？って勧めておいた」


「――ごめんなさい……」


「どうして謝るの。おれらは終わってた関係だよ」



森川さんは少し笑って、そう言った。

言葉として発せられたその“終わってた関係”という響きが、あまりにも冷たかった。


でも、あたしには、その冷たい言葉の中に――森川さんの愛情がこめられている気がした。


「でもね……ちょっとだけ、思ってたことがある」


「…………？」


「薫の、カイ先輩への気持ちは、らもちろん知ってた――

だから、カイ先輩の告白だって、９割方成功するって思ってた」


あたしと付き合っていた時、
カイ先輩から、あたしへの想いを聞かされた森川さんは――どんな気持ちだったのだろう。