「――――」
あたしの登場に、森川さんはかなり驚いた様子だった。
「……あの、こんなふうに押しかけて迷惑でしょうけど……話したいことがあって……」
――彼の目を見ることは出来なかった。
冷めた瞳が怖かった。
でもあたしは、ありったけの勇気を振り絞って、森川さんにそう告げた。
「うん……おれも用があったから、ちょうどよかった」
意外な反応に、少しだけほっとした。
促されるまま、半月ほど通いつめていたマンションの部屋へとあがった。
いつもと変わらない、森川さんの使ってる香水のラストノートが、あたしの鼻をくすぐる。
ついこないだまで当たり前のように座っていたコタツに、淡い記憶が蘇る。
幸せだった頃のふたりの幻が見えた気がして――あたしの胸がずきんと痛んだ。
「――カイ先輩と、上手くいったみたいだね」
その言葉に、はじかれるように振り向いた先には、付き合っていたころと変わりない、森川さんの笑顔があった。
あたしの登場に、森川さんはかなり驚いた様子だった。
「……あの、こんなふうに押しかけて迷惑でしょうけど……話したいことがあって……」
――彼の目を見ることは出来なかった。
冷めた瞳が怖かった。
でもあたしは、ありったけの勇気を振り絞って、森川さんにそう告げた。
「うん……おれも用があったから、ちょうどよかった」
意外な反応に、少しだけほっとした。
促されるまま、半月ほど通いつめていたマンションの部屋へとあがった。
いつもと変わらない、森川さんの使ってる香水のラストノートが、あたしの鼻をくすぐる。
ついこないだまで当たり前のように座っていたコタツに、淡い記憶が蘇る。
幸せだった頃のふたりの幻が見えた気がして――あたしの胸がずきんと痛んだ。
「――カイ先輩と、上手くいったみたいだね」
その言葉に、はじかれるように振り向いた先には、付き合っていたころと変わりない、森川さんの笑顔があった。