「森川がな、絶対大丈夫だから、って言ってくれたんだよ。テストが終わったぐらいで、告白してみたらどうです?って」


気が遠くなるような思いで、あたしはその話を聞いていた。


「――森川さんには……いつ、そんな話を……?」


「おまえとふたりで、部室に泊まった日。ちょうどあの夜、森川が部室に来てたんだよ。薫は寝てたと思うけど」





――頭の中で、すべてのピースが繋がった。


あのテスト勉強後の寝静まった夜、部室のドアが開いて、人の気配がしたことの真相。

あたしがあの夜、カイ先輩とふたりでいたことを、森川さんが知っていたこと。

森川さんがあたしに別れを告げたほんとうの理由。


あたしのテストを心配するくせに、あんな時期に別れを切り出したのは――すべて、あたしの為だったのだ。





「薫が森川と最近仲良かったから、おれもかなり焦ってた」


おまえら付き合ってんの?と、問い詰めたカイ先輩を――森川さんはさらりとかわしたそうだ。