訳がわからなくなり、あたしはぎゅっと目をつむってうつむいた。

あたしがあんなに渇望していたものが――カイ先輩によって、用意されたのだ。





背中を伝い、全身に鳥肌がたって、あたしは思わず身震いした。


“最後にはきっと、いいことが待ってるから”


まさかあの時の森川さんの言葉の真意は、ここにあった……?





堪えきれず、溢れたなみだが両頬を伝い――あたしの制服のスカートに、吸い込まれていった。

目を開けると、なみだで視界がぼやけて――それでも、世界は色を取り戻していた。


「ごめん、泣かないで――もう送るから」


急に泣きだしたあたしに、一番動揺したのはもちろんカイ先輩。

慌てて車を出そうとするその腕を、あたしは抱きしめるように止めた。



「――ずっと……ずっと好きでした……」





あたしははじめて、自分に正直になった。

今までの劣等感も、しがらみも、全部捨て去って――カイ先輩に素直な想いをぶつけた。