ただふと、寂しくなってしまった。

これから先、もうこんなふうに恋愛相談であたしを頼ってくれないかと思うと――なんだか寂しい。


「……いいと思います。カイ先輩のためにも」


あたしはその寂しさを紛らすために、無理に笑いかけた。


「どんな人なんですか……?」


カイ先輩は、あたしの目をじっと見つめたままつぶやいた。



「おれが前の彼女にフラレてから――ずっと、おれの力になってくれた人。

おれのそばで、おれを見守ってくれた人」






そんな女の子が、カイ先輩の近くにいたということが意外だった。


まるで、あたしとは大違い。

力になりたくて、そばにいて見守っていたけれど――あたしでは、そんな存在にはなりえなかったのだ。



そう思うと、麻痺していた心がようやく感覚を取り戻して――胸の奥がえぐられたように痛くなった。

急に現実に戻されて、あたしの心臓が激しく動き始める。

こみあげてくるなみだと、醜い想いを――あたしは必死に抑えていた。