「……っ…………ん……」


キスはさらに深く、濃くなり――あたしは息をするのもやっとだった。

はじめて味わう、とろけてしまいそうな感覚に、あたしは恥ずかしくてぎゅっと目を閉じた。


たまに、かちん、と――お互いの歯があたる音だけが、頭の遠くで響いている。


あたしの手首を握りしめる彼の綺麗な指先に、またさらに力が込められ、

息もできない熱いキスで――くらくらと、意識が遠のいていく気がした。





ようやく、熱を持ったくちびるがあたしから離れていき、あたしはおそるおそる目を開けた。

これから起こるであろうことについては、もうあまり考えないようにした。


完全に、流れに身を任せてしまっていた。


だって――森川さんを、裏切ったのはあたし。

罪は、つぐなわなければならないもの。



視線が、絡み合った。

あたしを見下ろすその冷たい瞳から、目を反らすことが出来ない。


寒い室内で――むせかえるほどの熱が、あたしたちふたりを包み込んでいた。