きつく、抱き締められて――あたしはそのまま床に押し倒された。

森川さんの、震える胸の中で、あたしは堪えきれずに嗚咽をもらした。


「ごめんな……さ……っ」


謝れば済む話ではないとわかっていても、あたしはその言葉を口にするしかなかった。


手首を床に押しつけられ、自由を失っても――あたしは抵抗することが出来なかった。

あたしの上に馬乗りになった森川さんは、無表情のまま、あたしを見下ろしている。


もう全てが麻痺してしまい、彼に恐怖を憶えることもなかった。

ただ――なるようになるだけ。

つぐないにも近い感情が、あたしの心に生まれていた。





ゆっくりと彼の影があたしを覆いつくし、

くちびるが、重なった。



くちびるが触れた瞬間、あたしの身体を電流が走ったようになり、びくん、と、震えてしまった。


甘く夢見ていたはじめてのキスは――なんだかしょっぱくて……なみだの味しかしなかった。