彼の瞳が、言葉が、全てを物語っているのは、混乱するあたしの頭でも認識できていた。


「――……違うんです!昨日は……っ」


それでもなお、醜い言い訳を並べようとするあたしは――もう、聞き分けのない幼子のようだったに違いない。

自分が壊してしまったのに、捨てられてしまいそうなオモチャに、すがる……子供。



「何が違うの?――そんな乱れた制服で」



あたしを笑うような口調に、かっとなって、制服のシャツの前をかき合わせた。


言い訳なんて、出来るはずもなかった。

カイ先輩とは、なにもなかったとしても――あたしの胸の中に、人には言えない想いが生まれていたから。


知らないフリを、気づかないフリをし続けていた――募る想いを、認めてしまった。

やっぱりあたしは、最後まで報われなくとも……



「やっぱりカイさんが、好きなんでしょ?」





突き刺さすような言葉に、あたしの身体じゅうから力が抜けていった。