初めてのお泊まりが、まさか、彼氏以外の男の人とだなんて。


制服のプリーツスカートが、シワになるのも気にせずに、あたしはフローリングの床に横になった。

なにも、考えられない。


頭が重くてずきずきと痛む――もう、なにも考えたくない。


「ソファに寝れば?おれが床で寝るし」


カイ先輩はそう言って、あたしを無理に起こそうとしたけれど――鉛のように重くなった身体は、そう簡単には動かなかった。

あたしは小さく、首だけを横にふった。


「――床は痛ぇぞ。眠れなくてもしらんからな」


テーブルをどかして、カイ先輩はあたしに頭を合わせるように、横になった。

まるで修学旅行の夜みたいに、縦一列になって、お互いの髪に触れられる距離で。


「……おやすみ。明日、朝イチで家まで送ってやるから」


きっと、なにも言わなくなったあたしを――心配してくれたんだと思う。


「――迷惑かけてすみません……おやすみなさい……」





まだ、外から聞こえる雨音が――罪深いあたしを、嘲笑っているようだった。