10回ほどコールしても――森川さんは出なかった。



あたしは絶望的な気分になった。

エアコンがついているとはいえども……こんな部室に泊まるのはいやだ!

大学の構内とはいっても、最近物騒だから、学内やクラブハウスにも泥棒とか来るみたいだし――正直コワイ。


「おまえバカだなあ」


一気に青ざめたあたしを見て、カイ先輩はゲラゲラと笑っている。


「はい、毛布。今日はあきらめなさい」


モ会の部室には、毛布とタオルケットが常備してある。

その煙草くさい毛布を受け取りながら、あたしはほんとに泣きそうになっていた。


「おい、寂しいなら――もう1ラウンド、付き合ってやってもいいぞ」


カイ先輩はそう言って、再びコントローラーを差し出した。

あたしは半ばヤケになって、


「今日は帰しませんよ……」


がしっ、と、コントローラーを受け取った。








「――帰らねぇよ」


カイ先輩の声に、はじかれるように顔をあげた。


「今夜はおれもここで寝る。オンナひとりじゃあ、危ないから」