『飲酒運転、ダメ!絶対!』


あたしがお兄ちゃんに用件を伝えると――そう言って、電話は切れてしまった。


「…………」


あたしはようやく、今朝、兄が言っていたことを思い出した。


『おれ、今日飲み会で遅くなるから。オヤジも出張で帰らないらしいから、薫ひとりで飯食えよ』








「どうしたんだ?かおる。隼人は迎えに来るって?」


あたしはようやく、事の大きさを理解した。


「酒飲んでました……」


「――マジ?」


半ば呆然となりながら、あたしは小さくうなずいた。


どうしよう。
カイ先輩も、もうお酒飲んじゃってるし――タクシーで帰るしかないのだろうか。

でも正直、タクシーで帰れるほどあたしはリッチではない。


でもこのままでは、部室に泊まることになってしまう。

明日は土曜だから、幸いにも学校は休みだが――それだけは避けたい。


「ち、ちょっと、この近くの友達に、泊めてくれないか聞いてみます!」


祈るような気持ちで、あたしはケータイを握りしめた。