足元から視線を外し、ゆっくりと前を向く。



徐々に視界に飛び込んできたものに、俺は言葉を失った。




散乱した二本のスキー板。



俺が手に持っている黄色の手袋の片割れ。




そして…………





白い雪の上に横たわる、一人の少女。




それは間違いなく……………




「さくら…………?」




呆然としながらも、小さくそう問いかける。  だけど。



その人は────さくらは、ピクリとも動かなかった。