「裕翔?」



やっぱり不審に思ったらしい結衣は、呆然としている俺の視線を追う。



そして、その先にいるさくらに目が止まった。



当然のごとく、さくらの親指と携帯にも視線がいく。



「あ、大橋さん!」



さくらがクラス議会中に携帯をいじっていたことに気づいたらしい結衣が、さくらに近づく。



「みんなが3年3組で最後の思い出を作ろうとしている最中でしょ?

それなのに、なんで話し合いにも参加せずに携帯を触ってるの?」



さくらの脇に立って、教師らしく叱責をする結衣。



結衣が人前で生徒を叱るなんて珍しいからか、話し合い中だった生徒たちが好奇の視線を向けてきた。