「私にとってはおでこも初めてだったんです。

それを『そんなこと』呼ばわり?

これだから、私は先生のことが好きになれないんです」



さくらはそう言い捨てると、大股で教室に戻って行った。




ったく、俺なにやってんだよ。



今更ながら、自分の未熟さに気づく。



昨日、少しだけ縮まったさくらとの距離は、あっけなく元に戻ったのだった。