「きゃっ…」
「あ、ごめん!
って、今日の子じゃん!」
と言われて、顔をバッとあげる。
「あ…ほんと、だ。
ここの高校だったんだ…」
そう、電車で助けてもらったイケメン!
明葵が見たら、間違いなくしつこいだろうな…
だってもう、女子が見てるもん。
「あれ?先輩にタメ口はダメだよ」
「えっ…せんぱっー?!」
先輩だったの!?
全然、分からなかったよ!!
「ご、ごごごご、ごめんなさい!
べ、別に…悪気があった訳じゃ…!」
超カミカミだね、私。
そう勝手に焦ってると
先輩は笑った顔をした。
あっ…笑顔。
ドキンッ
「いいよいいよ。
だけど、お仕置きしないとね…」
とか言って、私に近づいてくる。
「おし、おき…?」
戸惑ってると
先輩の手が私のおデコに当たって
そこだけ、ジーンっと熱くなる。
前髪をあげられて、
チュッ
という、音と私のおでこに何かが触れた気がした。
理解するのは遅くて
理解した時には、もう私の顔を真っ赤だった。
「へっ?先輩、今っ…なにしてっ」
理解してるのに、嘘っぽく感じて先輩に答えを要求する。
「何ってお仕置きの、キ・ス」
「……」
周りを見ると、冷たい目線で私を見つめる人達と、私と同じで顔を赤くしてる人達がいた。
口を開けて、ポッカーンとしてると
頭にババチョップを食らう。
「あいでっ!!」
「連絡しなさいよ」
上を向くと、頬を赤らめた朱里がいた。
「あ、あかっ…り!」
思わず、朱里に飛びつく。
とにかく、顔を隠したかった。
うぅ~!恥ずかしい〜!
「戸田先輩!あたしにも!」
「え、やだよ。
俺もう、行かなきゃ。
じゃーね!平岡さん!!」
「え、えっ!名前もっ!」
名前も分かってたのっ!!?
もうっ!
なんか意味わかんなくなってきた!!
とりあえず、
「先輩のばーか!」
小声で叫んどきます!
「はぁぁあ!??」
「うっさい!」
そうしてボコッと1発叩かれる。
痛い…。
とととと、というか!
「あの先輩が!?」
「そうよ!ね?明葵!」
先輩…というのは…。
…あぁー!思い出したくない!
「名前は、戸田…」
「きゃーっ!!!」
あ…名前聞こえなかった。
というか、先輩どんだけ人気あるの!!
「あっ!平岡さん!」
「えっ…あ、はい!?」
びっくりして、裏返っちゃった。
な、なんで私に話しかけてくるんだろう…
「今日、話あるんだけどいいかなっ?」
「……はい?」
と聞き返すと、一瞬先輩の顔がニヤついたような…
なんて!気のせいだよね!
「聞こえなかったの?」
と言って、私の耳元まで顔を運ぶ。
何かと思って、固まってると
「ふっ」
「ひゃっ」
耳に息をかけられ、一瞬ゾクッとした。
耳…弱いから…。
「今日、話しあるから。放課後、クラスまで行くね」
そう言われ
頭に手を乗っけたと思うと、ぐっと力を入れ、強制的に、コクんとされた。
「っ…」
何なの、あの先輩!
ムカつく!!!!
意味わかんない!
あんな事されたら、ドキドキするの当たり前だし!
しかも!
女子からの視線
どんだけやばいと思ってんの!
最悪!
文句言われるじゃない!
先輩のくせにー!
こっちの身も、考えなさいよ!
超超超、ムカつく!!!!
今度、バシンと言ってやるんだから!
「あら?あららら?」
「うっざ」
今は、昼飯。
だけど、隣ではうるさいぐらいにチヤホヤされてる先輩の机があって…
私の隣の席では、さっきから私をいじりまくる朱里がいる。
食堂に来たのが悪かった…
「ねぇ!梓紗!梓紗ってば!!!!」
気付いたら、中庭
「えっ!なんでナカニワ?!」
テンパってると、先輩の声がする
「あ、気が付いた?」
ムカッ!!
「あの先輩」
「ん?」
ん?じゃねぇよー!
とか言いたいけど、先輩に言ったら何されるか…。
「どう言うつもりで、キスしたんですか」
冷たい目線でそう言うと、先輩は笑った。
「理由なんてないよ。
ただのお仕置き」
た、だの…
ただの…
ただの…
ただの…
ただの…
ただの…
ただの!??!
お、し、お、きぃぃい!??!
「はぁあぁあっ!?」
完全に、おこだよ!
「わわ!急に声出さないでよ~」
なにが、わわ!だよ!
お前は、女かっ!
先輩、ツッコミどころ満載だよ!
「意味わかんないっ!
もう、私に近寄らないでください!」
「えっ…」
あ…
でも…
「は、話すのはっ!話すのはいいけど!!
お仕置きとか!いりませんから!
今日だけですよ!きょ、今日だけ!」
うっわぁ
カミカミ!
ぜぇぜぇ言う私
爆笑する先輩。
「よく言うよ
今日、楽しみにしてる」
「え、あ…はい…?」
な、なんか…雰囲気変わったような…
うん、やっぱ先輩意味わからん。
全くもって意味わからん。
なんじゃこれ。
私完全に、遊ばれてるよ
あんな人が…
学校No.1のイケメン!ねぇ…。
嫌いだな…あういうひと。
「し、しつれいしまーす」
そう言って、資料室のドアを開ける。
放課後、先輩に呼ばれた。
そして、来た場所がここ。
二階の資料室。
ここは滅多に人が通らないから…
危険度MAXなんだけど…。
「さーて、あずさちゃん。
先輩にむかって言った言葉をもう一回言ってみろ」
えぇえっ!?
なんかキャラちがくない!?
あ、悪魔…
「な、なんの…こと、ですか…?」
「そーかそーか。とぼけるつもりか
じゃあ。お仕置きしないとね」
ま、待って!
おかしいでしょ!?
「ごごごごっ、ごめんなさいっっ!!
ちょ、ちょっと、用事思い出したのでっ!」
そうして、むりやり出ようとしたら
ドンッ
壁ドンされてしまった。
うっわぁ~、最悪。
逃げ道がっ…!!!
「さっき言った言葉、言えばいいだけだろ」
「っ…」
怒られる…!!!
「ほら、早くしないと、何されるか分かんないぞ?」
そう言われて、
顎をクイッとされる。
顎クイ。
先輩…ガチおこ?
と、というか…何で怒ってるの!?
「まだ、とぼけるのか。お前は」
「とぼけてなんか…いませんし…
というか、先輩は何に怒ってるんですか?」
というと
一瞬、力が揺らいだ。
あっ…
チャンスと思ったけど、遅かった。
「え?怒ってるとおもったのか?」
「え?怒ってるんじゃないんですか?」
ちょっと、意味わかんなくなってきた!!