放課後、部活を終えた。


「一緒に帰ろうぜ?」

あたしは珍しく素直だった。


「うん、帰ろ?」


「あのさ…」



藍斗が切り出した。

「あの転校生の優人となんかあったの?」


「昔からの幼なじみなんだ」



「昔あいつのこと好きだった」

「なのにいきなり転校したの…」


藍斗は驚きを隠せず動揺してる。


「今…は?」



藍斗の事が気になりだしている自分と優人の事が忘れられずにいる自分に困惑していて何も言えずに黙りこんでしまった。


「俺、お前、いや加奈が好きなんだ」


あたしは尚更驚き動揺した。

あのバカで自分勝手でなのにあたしの事を一番理解してくれてる藍斗。
そんな藍斗からのいきなりの告白だった。


「勘違いだよね…?」
「空耳?」


あたしの勘違いだ。空耳が聞こえてきたんだ。
そう思い込んだ。


「本気でお前が好きなんだ」


やっぱり告白だった。


「ごめん」


その一言で藍斗は寂しそうな顔をしていた。

「なら次の地区大会!その時最優秀取れたら付き合ってほしい!」


最優秀とは金賞の団体の中の一位のことであたしたちの高校は取ったことがなかった。


「考えるね」


そう言ってあたしはその場から走り去った。