それは、夕食を終えてゆっくりしている時の事だった。


まだ高校生である山城文乃(17)は、養父である和樹に、義理の妹・愛里か自分のどちらかが、ある家に嫁いでほしいと話を持ちかけられた。


突然のことで、頭の中では和樹の言葉がリビー卜されている。隣に座って同じく話を聞いていた愛里も文乃と同じ反応だった。



文乃は自分の部屋に戻って深くため息をつきながらベッドに体を投げた。
「結婚って…どういうことなの」
しかも、私か愛里のどちらかって何てあいまいな。

ふつう結婚は、自分の知らないところで誰かに決定されてすることじゃないのに。



和樹ら企業の顧問弁護士をしている。どこかの令嬢のよう大企業の間では政略結婚など、好きでもない人と婚約することもあるだろう。しかし、令嬢でもない文乃なら自分の好きな人と結ばれると当たり前に思っていた。