「…え?……ハッ!」

私の目の前にいたのは今朝出逢った男子生徒。

さっきと変わらない笑顔で立っている。

「あ、さっきはどうも…!」

慌てて立ち上がりペコリと頭を下げるとゆるゆると首を振った。

「いえいえ。また会えて嬉しいよ。俺は山崎融(とおる)。君は?」

「白川梓です」

「いい名前だね」

そう言いながら私の隣の席に座る。

「…え!?」

「これからよろしく。梓」

…いきなり呼び捨て。

これが融との出逢いだった。

知らなかったんだ。

まさか日本で一番大きい極道『山崎組』の若頭だったなんて。

この瞬間、私は極道だと知らずに恋に落ちました。