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「ふぅん、あなたフリュイって言うの」


「そうですけど、何か」


「どこかで会ったことないかしら?」


「ありませんけど」


「そうかしら……」


「そうですけど」



ロゼアと向き合った位置に座ったフリュイが、僕を挟んで顔を合わせて話をしているのだが。


なんだか、不穏な空気……。


見るからにどちらも相手方のことが苦手そう。



「フ、フリュイ、これ飲めば?」



その空気をどうにかしようとフリュイにティーカップを押して勧める僕。


そんな僕をフリュイは一蹴する。



「フリュイ、ミルクティーは好みませんので結構ですっ」



なんでそういうこと堂々と言っちゃうかな。


せっかく珍しくロゼア自ら淹れてくれたミルクティーなのに。


それに、カフェ・レヴで飲んでたのミルクティーじゃなかったか?



「つかぬ事をお聞きしますが」



え、どうしたフリュイ。


なんかいきなり難しい言葉使ってきて。



「ロゼアさんは、バベルと結婚したいと思ってますかっ!」



えぇぇぇえ。


なに聞いちゃってんの!


なにしてくれちゃってんの!


そんなこと聞いて結婚したいとか言われたらどうするの!


僕レティシアとしか結婚するつもりないのに!



「もちろん、結婚したいと思っているわ」



うぁ……振りにくくなった……。



「そうですか。でも、そうはさせませんよ!」



は、なんでお前が喧嘩売ってるんだよ。



「あなた、ただの子供じゃないようね。何者なのか聞かせてもらいたいわ」



え。ロゼアさん?


何のっかっちゃってるんです?