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「りす」
「スリ」
「りんどう!」
「うり」
「りー、リズム!」
「無理」
「りーりーりえん、梨園!」
「はい、『ん』がついたからフリュイの負けー」
最後は頑張って少し難しい言葉を言って僕をあっと言わせたかったのだろうけれど。
残念ながら、久しぶりのしりとりは僕の圧勝だった。
それもそのはず。
「バベルの馬鹿。『り』ばっかりで攻めてくるって酷いよ。いじめてるの?」
遠慮無しに同じ言葉で終わるように、攻めてしまったのだ。
膨れっ面のフリュイに悪いことをしたなぁ、と少し善意を持って歩み寄ろうとすれば、バーカバーカと暴言を吐かれたので善意はどこかに消え去った。
「僕は馬鹿じゃないし、いじめてない。フリュイが弱いのが悪いんだから」
「何それ、むかつくーっ!」
もうすぐ旅の終わりだと思うとやはり寂しいが、それを隠すように僕らはわざとらしく元気に騒いでいた。
歩く道はどんどんシュトラントへ近づいていき、歩みが遅くなりそうになる。
でも、その度にレティシアの顔が頭の中で出てきて会いたくてたまらなくなって歩みを早める。
なかなか心や頭の中が忙しいことになっていた。
「あ、ところでフリュイ」
「何だよっ」
「なんでお前、レティシアからの手紙持ってたんだ?」
「へっ」