瑪瑙を見ていると、彼女の切ない顔が浮かぶ。 『男の一番は貞臣様で良い。でも、女の一番はあげはにしてください』 彼女はあの時、どんな想いでいたのだろう。 「あの、珠喜さん。これからも、時々ここに来て良いでしょうか?」 「……えぇ。勿論」 愛した人は既に、どうしようもなく憎い人に変わってしまった。 ──今となれば、あげは以上に大切なものなど無いというのに。