木蓮の花弁が、ひらりと舞った。

それは白く、汗ばんだ肌の上に落ちる。


珠喜は、隣で眠る男の顔を見つめていた。

一夜の客。
愛した男とは違う男。

いつの間にか、涙がこぼれる。

快楽に身を委ねることしか、自らを慰める手段がなかった。


「あげは──…」


守れなかった。
あの無垢な少女を、自分と同じ罪で汚した。


ならば、いっそ。
もっともっと、今より罪深い所まで、深く堕ちてしまおう。


一度、堕ちてしまえば同じこと。


堕ちて、堕ちて。


果てまで逝けば、もう何も感じずに済むのだろう。