「どいて下さい!通して!」

(遙……嘘だろう……?蝶子ちゃん……!)


やっとのことで人混みから脱け出す。


「遙……!」


そこには、見知った二人の変わり果てた姿。


「そんな……馬鹿な……」


絶望の文字だけが頭に浮かび、力が抜けてその場に座り込む。

親友の遙、そして可愛がっていた蝶子。その両方を一度に失った哀しみ。

涙をこらえる事が出来ない。自分の体が震えているのがわかる。