いっぱい辛い事があったんだ。


2人にしか分からない深く、消えない胸の傷…




『神代は、親を大切にしろよ』


「うん。」




毎日、毎日、お母さんのお父さんをみつめる乙女の顔にバカバカしいって思う。


けど、やっぱり何かあったらお母さんに言うし、大事な事はしっかり者のお父さんに相談する。


そんな日々、当たり前の日常会話が出来ないんだ…




『お前、泣いてる…』


「…へ?
泣いてなんか…」




美眞に言われて初めて自分の頬に、涙が伝っているのが分かった。


なんで…


なんでアタシが泣いてんの?


『同情なんかいらねーよ』って、美眞が言うに決まってるじゃん!


止まれ、止まれ、止まれ…


制服のカッターの裾で目をゴシゴシ擦る。




『バ、バカ!
んな事したら目赤くなるぞ』


「いいの!」


『はぁ…』