そしてアタシの頭を優しく撫でた創。




『お前の辛い顔、見たくないねん。』


「ごめん。」


『もう…いいで?泣いても。』




その言葉に、今の瞬間まで止めていた涙が一気に込み上げてきて、溢れる涙が頬を伝っていく…


どうして恋って上手くいかないの?


自分を好きになってくれる人を好きになれたらいいのに。


だったら辛い思いなんてしなくて済むのに。


一度好きになってしまうと、後戻りが出来ないんだよ。


好きが募るばかりで、嫌いになんてなれない。


ちょっとの…


ほんの小さな優しさで、諦めきれなくなる。




『気が済むまで泣き?
俺がずっとこうしてるから』


「…ひくっ…ひくっ」




耳元でそう言われてまた溢れる涙…


創の彼女さん…ごめんなさい。


ほんと創は優しすぎるよ。


会いたい人に会えないのに、いつも笑ってるんだもん。


アタシも美湖ちゃんがいなかったら、紀衣みたいに笑って恋出来てたのかな?


ダメだ。


すぐ自分と人を比べてしまう。


悪い癖。