電車に揺られて、西口の出口に着いた後、真っ直ぐに見える夕空のマンションの階段を上る。


203号室、インターホンを鳴らすとドアが開いて夕空が顔を出した。


『は!?なんで!?
え、俺、時間間違えてたか?』



居るはずのないアタシを見て慌てる夕空を見て笑う。



「あははっ、ごめん。
着ちゃった…」


『着ちゃったって…ったく。
寒いだろ、とりあえず中入れ』



夕空に手を引かれて、家に入って夕空を改めて見ると、夕空も同じニットを着ていて…


紺色のニット…似合いすぎでしょ…!



『ん?どうかした?』


「あ、いや。
ニット…似合ってるな…って」


『ははっ、凛時も似合ってる』



そう言われて、恥ずかしくて目を逸らす。


ぎこちない空気…


素直に喜べれば可愛いのに…



「あ、えっと、こ、これ!!」


はっと思い出して、夕空にグイッと紙袋を押し渡す…