ー夕空 sideー
放課後まで、神代と話す事はなかった。
ずっと、何か悩んでる感じがした。
SHR が終わってあいつに声を掛けようとしたけど、すぐに教室を出てしまった…
居なくなったあいつの席をジッとみつめて、何も出来なかった自分にイライラする…
『いい加減、自分に素直になれよな?』
姿勢の先に現れた洋太。
『何がだよ?』
『お前の心にだよ』
洋太は俺の胸に拳を軽く当てた…
心?
意味分かんねーよ。
カバンを持って立ち上がると、視界に美湖が飛び込んだ。
「洋太くんの言う通りだよ?」
『は?』
「いつもいつも、心配かけて…ごめんね」
俯く美湖…
心配って…それは…
「私、夕空にいっぱい迷惑かけた」
『…あんなの迷惑に入んねーよ?』
俯く美湖の頬に両手を添えて、ゆっくり顔を上げさせた。
ほら、また泣きそうな顔してる…。
だから、ほっとけないんだよ。