何年前のことだろうか子供じみた恋愛に終止符をつけたあの日。

手をつなぐだけ、頬に口付けるたび。

好きを確かめ合うだけの可愛いらしい行動に胸が高鳴るのを感じていた。

けれど終わりは当然やってくる。初夏の香りを放つ体育館。

部活終わりの夕日に染まる体育館は想像以上の綺麗さが映し出される。

風の香りが付き合ったときの風の香りと似ている。

「美樹、探した。」

背後からの声に振り向けば、体操服を着くづした千里がたっていた。

肩で呼吸をする千里。息を乱している、走ってきたのだろうか?

数秒見つめ合えば、先に千里が口をあけた。