「大丈夫、マリアさんは怒ってないよ。
そんな事で怒る人じゃない。」
「ふっ…う…ヒック…ふぇ…!」
カナメと夫婦にならなければきっと、マリアさんとはいい友達になれたはずだった。
だからと言って結婚に反対したわけじゃないけど。
「あ、たしっ…シルビアが羨ましかった…!
兄ちゃんからも一目置かれて、部下で…
マリアさんとも仲が良くて…、まるで二人の子供みたいだった。」
「…うん、」
「頭ではわかってるつもりだったんだ…
兄ちゃんとマリアさんは夫婦で、…家を出た兄ちゃんを助けたのはマリアさんだって…。」
後から聞いた話だが、カナメ隊長とイヴの家は貴族で、"穢れた子"の条件に嵌まっている、カナメ隊長を毛嫌いしていたとか。
そして両親、親戚の扱いに耐えられなくなったカナメ隊長が、家を飛び出したとか。
「うん、わかってるよ。
大丈夫だよ、イヴ。」
「さ、泣くのは此所までだ。」
なんにせよ、強くならなきゃ叶わない。
カナメ隊長の仇も。
「強くなろう、イヴ。」
そして私は金色の
ベールを翻した