「リズ!!リズ!!
しっかりして!ねえっ!!」



「…ぅ…、……まり…ぁ…?」


呼び掛けるとうっすらと瞳が開いた。




「今応急処置するから!!」


「な、んで……此処に…

帰れ…って、…言ったろ…」


「追い付くって言ったじゃない!死なないって言ったじゃない!!

帰れないよ、リズを置いてなんてっ!!」




「……ハハ、…わり…

けっこ、…強、くてよ…




「喋らないで!血をとめてるんだから!!」



カナメの体は五体満足だったが、内臓が殆ど吹っ飛んでいた。

血が止まらず、カナメの顔も悪くなる一方だった。



「ゃだっ…やだよ…!
死なないでよ…、私を独りにしないでよ…っ…リズ!!」



「…ハァッ…ゥ、ァ……
いい、…も、う……やめろ……」



そう言うと応急処置をしているマリアの手を退かした。



「駄目よ!処置しないと死んじゃうわ!」



「…死、ぬのは…知ってたんだ…
この、技は…リスク…高ぇから…、

な、……マリア…最、後に…聞いて、くれ、ないか…?」


もう、目も霞んできたんだろう。声の在りかを探して、手を空中で左右させるカナメ。




「…なん、でっ…
なんで死ぬってわかってるのに…使ったのよ!!バカ!!最後なんて言わないでよ!」



「……っ…確かに、バカかもな…

…でも、…マリアを、この子を……守りたかったんだ…。」



マリアのお腹に手を当てて幸せそうに笑うカナメ。




「…だからって…!
リズがいないんじゃ、私…!!」



「……ごめん、な……
いてやれなく、て……

……マリア、……俺と、結婚して……幸せだったか……?」



凄く不安な顔をして聞いてくるカナメに、これが最後なのだと改めて思い知らされた。




「…っ幸せだよ!!
だったじゃない!
幸せなの!!

やだ!やだぁっ!!
死なないで!リズッ!!」


「…ゴホッ、ハァッ……

ごめんな…
…俺の、子……産んでくれな……


あり、がと……

愛して、るよ……マリ、ア………」



そっとマリアはカナメの頬を、カナメはマリアの頬を包み二人は唇を重ねた。



―――チュ、…




そしてカナメの瞼は閉じた。




「いや…っ…やだ…!!

リズゥゥウウウウあああああああああ!!!!!!」