子犬に癒され弄びつつサシミをつまみつまみしていたティアだが、ふと疑問が浮かぶ。


「そういえば、あなたのお父さんはステュアート魔法学校の校長よね。
何故、首都の魔法学校を選んだの?
身内がいるところの方が安心しないかしら?」

「ん~…なんでなんだろうね?
ただ、なんでだか父さんがいるのはやだったんだよね…なんでだろ」


そう言ってコテンっと首をかしげるトリト。
しかし、すぐ首をあげて笑みを浮かべた。


「でも、それで良かったって思ってるよ。
テューダー魔法学校っていうんだけど、面白い友達もたっくさんいるしね。
テューダーだってすっごい良いとこなんだよ!」


そうして自校のいいところを次々にあげていくトリトの表情はとてもいきいきしていて、彼が充実した学校生活をおくっていることを物語っていた。



そういえばティア自身も入学するときに、充実した学校生活をおくると決意していた。

実現できているだろうか…と考えたとき、思い浮かんだのは…………皆の顔。



ティアにとって、彼らの存在はとても大きなものになっていたようだ。

ティアの顔も自然と綻ぶ。


「随分楽しそうね、良かったわ」


「エヘヘーそりゃあねー…うれしいな…。

あ、そういえば3月にステュアート魔法学校と合同合宿やるんだって!
ティアりん聞いてた?」


合同合宿と聞いてティアも反応する。


「あら、あなたの学校となの?
一緒に行けると良いわね」

「行けるよ!ボクこれでも成績はかなりいいんだよ?
ティアりんだってすっごい頭いいんでしょ?
間違いなく一緒に行けるよ!」



楽しみ!楽しみ!とトリトが全身で気持ちを表す。




そんな子犬の様子に、合宿に良い予感がしたティアだった。